相手の心をひきつける1分間(営業)
自分で言うのも何ですが、究極は1分間でどう相手を口説くか、落とすかということだと思います。
好きな相手から気を惹くために努力することは、恋愛も営業も同じです。
デートを誘う、結婚の約束をするという重要な一言を発するときに、いろいろな努力をしますよね。
結局のところ人間力に繋がってくるのですが、営業においても重要な一言、ワンフレーズで相手の心をひきつけることには努力(訓練)が必要だと思うのです。
本題の前に、私の経験をお話しします。
お客様を訪問して2時間程度。用事は済んでいましたが、「いざ、自分が薦めたい営業ごと」を切り出すタイミングがつかめず、時間がきてしまいました。しかも今日、ある程度仕事もらえないとしんどい状況です。あせる自分がいました。
お客様に駅まで車で送ってもらい、駅が見えたところでようやく一言が出たのです。
「あ、社長、前に一度私がお話したシステムの件、あれ、めっちゃ他のお客様のウケがいいんですわ。 今、申し込んでもらったら安くできますが、どうです?」
結果、この一言で仕事が決まったのです!
帰りの電車の中で、「今日一番話したかったことが、たったの1分。二の次、三の次の話が2時間。営業って面白いなぁ!?」 と苦笑しながら満足する自分がいました。
その頃の僕はシステムの営業だったのですが、システムの仕事は物を売る商売とは違い、見えない商品を売る商売です。
ですから、いくらゆっくり時間をかけても、なかなかお客さんには理解してもらいにくいのです。
なので、仕事が決まった僕の最後の一言は、説明をまとめた一言ではなく、社長の気を惹いた一言だったわけです。
「説明の1時間よりも気を惹く1分のほうが勝ち!」ということだと実感しました。
あのときの成功は偶然から生まれた産物のようなものでしたが、何回も繰り返すと自分なりの方法論になりました。
しかし、1分間で相手の心に響かせる、相手の気持ちをこちらにひきつけるということは、本当に難しいですよね。
今振り返ると、あのときの一言は100点とは言い切れません(笑)
しかし、なぜ、あの一言が仕事につながったのか考えた結果、4つのポイントがあったことに気付きました。
最後の一言だけあっても仕事にはつながらなかったはずです。
4つのポイントが、社長に会いに行く前、会っている間、そして最後の一言に実現されていたのだと思います。
1.自分というものが相手にしっかりと伝えられているか
仕事を獲得するには、まず相手に対して、自分という存在、自分が売りたい商品やサービスを伝える必要があります。
さらに、正しく伝わっているか?一番伝えたいことは何か?という点が重要になります。
その重要な点ができるかどうかは、自分が自分をよく知っている・理解しているかどうかがポイントになります。
本当に自分、自分が売る商品・サービスというものが相手に伝わっていると思いますか?
まずは、そのことをしっかり自分で自信が持てるぐらいに念入りに知ることです。
伝わったかどうかは相手の反応でよくわかります。
話をした相手の反応から、自分が伝えたいことが伝わった!という自信は最初に欲しいものです。
2.相手を知ること
ビジネスでもプライベートでも、良い人間関係を築くことは大切ですよね。
この人間関係は、自分を知ってもらうことと同時に、相手を知ることで築かれます。
相手を知るには、相手の話をよく聞く(聴く)事が重要です。
よく話を聞く事は、頷く度合いが大きいとか、返事が良いとか、そういうレベルではなくて、しっかりと相手が話したことを理解するということです。 「へぇ~!」とか「うんうん」など、リアクションでごまかす聞き方ではありません。
「聞き上手は話し上手」と言われます。
相手のことを理解するということは、相手に確認をとれば確実です。
ただ「うんうん」と返事をしていただけでは、「あれ、この人本当にわかっているのかな?」となります。
聴き方にもコツがあるのです。 訓練すれば上手な聴き方になるのです。
会話中、相手が返した一言が見事に自分のツボにバシッ!とあたる、的を射ている!という経験はありませんか?
その相手は聞き上手です。発せられた言葉そのものが凄い一言ではなく、自分の話をよく理解してくれていたからこそ、一言が生きている場合が多いのです。そして、その人の言葉は心にしみ、的確なアドバイスに感じるのです。
相手を良く知れば、相手に響く言葉を探すネタがはっきりします。これが第2のポイントです。
3.相手のニーズに気付き、「共感・サプライズ・言い訳」のいずれかを与える
最初の私の例をもう一度
「あ、社長、前に一度私がお話したシステムの件、あれ、めっちゃ他のお客様のウケがいいんですわ。今、申し込んでもらったら安くできますが、どうです?」
この中で、社長に届いた言葉は何だと思いますか?
答えは「安くできます」です。
この件の状況を説明しますと、実は社長はシステムの件に興味を持っていました。
でも社長はシステムには詳しくないので、いくら説明しても完全には理解できません。
私も、当時はとにかく世間話すらも上手にできませんでしたから、ひたすら社長の話を聞くことしかできませんでした。
でも、話を聞きながら「この人には何の話しをすれば振り向いてくれるのかな?」と察し、伺っていました。
そのとき思ったのが、「たぶん、内容はともかく予算だけの問題かな。10万円程度だったらやってみたいと思っているかもしれないな」ということです。
あとは、その台詞をどのタイミングで言ったら一番いいのかということでした。ドキドキしていました。
そこで、結局は帰り際に言ったのです。 「今なら安くできますよ!」と。
僕は、「共感・サプライズ・言い訳」の中の“言い訳”を与えたわけです。
言い訳とは、相手にとって決め手となる理由みたいなものと思ってください。
いくら社長といえども、何か決定(お金がかかること)するには、周りを説得しなくてはなりません。
従業員のいない個人の社長であっても奥様に言う必要があるかもしれません。
従業員や役員が「社長、どうして××買ったの?」と問われたときに、
社長が「いやぁ~ 内容はともかく安くしてもらったから買ったのやわ~」という、そういうシチュエーションを想像してください。
皆さんの周りではそういうことありませんか? 旦那さんが何か買ってきたときに発する言葉!
そう、“言い訳”という言い方、マッチしていませんか?
相手に与える「共感・サプライズ・言い訳」 共感とサプライズはわかりますよね。
共感は「そやねん、それ困っていたんやわ!」「そうそう、そういうことあるある!」などという台詞
サプライズは、「え!この商品、あの人も使っているの?」や「え!ほんまに分割支払いでもいいの?」など。
共感とサプライズは、いろんなシチュエーション、ケースがありますが、大体理解できるでしょう。
4.次につなげる約束事を言う
もういちど、最初の私の例を書きます。
「あ、社長、前に一度私がお話したシステムの件、あれ、めっちゃ他のお客様のウケがいいんですわ。今、申し込んでもらったら安くできますが、どうです?」
この台詞は、別れ際に発したものです。別れ際というのは大事ですよ。
それは、約束事を確認する最後の時間ですから、ここで話をしたことは相手も覚えてくれています。
2時間もお互い話をすれば、最初に約束したことは忘れ去られる場合がありますよね。
僕は、別れ際に約束事をつくったわけです。
「どうですか?」と質問すれば、答え方は2つです。
1つは、その結果を答えること。つまり、「わかった!了承しよう」か「ごめん、受けられません」という答え。
もうひとつは、結果を答えることを延期すること。つまり、「ちょっと考えさせてくれ」「また返事するわ」ということ。
どちらにしても、数日後にこちらからアプローチできる種を植えたのです。つまり繋ぎを作ったということ。
ここで僕はOKをもらったわけなので万歳!だったわけですが、もしNGであっても次に繋がるように粘ったわけです。
営業用語として「クロージング」という言葉があります。
つまり、営業話の詰めをするということです。
詰めがきちんとしているかどうか、それは自分に厳しくならなくてはなりません。
と、まぁ急に難しい話を出してしまいましたが、「はっ!」と思われた方はいらっしゃるでしょうか。 ノルマを与えられ、マニュアル重視の営業を経験した人は「そう言われれば...」と思ったでしょう。
営業経験がない方は、たぶん「???難しいよ!」と思われるでしょう。
そうなんです。実は難しいのです。
でも、それは訓練すれば誰でもできることなのです。
以上、私が言う「1分間で人をひきつける営業」には、4つのポイントがあることを説明しました。
4つのポイントを押さえれば、限られた時間の中でも、また初対面であっても「よい人間関係・信用関係」が生まれます。
逆に、ポイントを押さえず長々と説明しても、伝わらないものは伝わりません。
では、次に4つのポイントのそれぞれの訓練方法を紹介します。
ポイント1【自分を相手に伝えること】の訓練方法
まず何はともあれ自分のレベルを知ること! これなくして成長はわかりません。
2つのことをやってみてください。
- 3分間、自己紹介して、それを録音してください
- 自分が話したことを文章に書き写してください。
書き写したら下記の3点を分析してみてください。
- ●3分でキッチリ自己紹介できましたか?
- ●3分で納得できる内容になりましたか?
- ●3分という時間感覚、わかりましたか?
自分が話したことを文章にしてみるとわかることがたくさんあります。
- ○話の脈略がしっかりしているかどうか
- ○伝えたいことが違う意味で捉えられるような言い回しになっていないか
- ○日本語としてきちんと相手に伝わる文章なのか
これはオーソドックスな訓練方法だと思います。
これは一人で行うより数人でするほうが効果的なので、勉強会などで行うことをオススメします。
ポイント2【相手を知ること】の訓練方法
●相手の話を反復する!
日常会話でも何でもいいのですが、友人が話しをしたことを、自分の口で話をして、内容を確認してみて下さい。
たとえば、友人が職場で上司から嫌なことをされてしまい、あなたに愚痴を言ったとしましょう。
「あら~、それって失礼よね。そんな上司嫌だわ~」 と応えるところを、
「その上司、田中さんっていう方、あなたに×××って言うのは失礼だね。その場の雰囲気って普通は○○だろうから、××してもらえればいいのにね」 と、相手の話を繰り返して応えればどうでしょう?
その友人は、「随分と自分の話を聞いてくれたんだ!」と思うのではないでしょうか?
相手の話を、確認するように繰り返すことは大事です。(ただ、確認が目立つと鬱陶しく思われるのでほどほどに)
スムーズに相手の話を反復して、会話が続くと、今度はあなたの話をよく聞いてくれるようになります。
今までの会話に、ちょっとだけ相手の話したことを反復することを試してみてください。
できれば、癖にすればいいでしょう。
反復することで誤解や行き違いはかなり激減します。
誤解がない会話は、より確実に伝えることができます。
ここで、実はもうひとつの訓練ができます。
それは、話し手の伝え方が下手だと、相手の反復に間違いや行き違いがでて、
「あぁ、こんな言い方だと誤解するんだ!」ということがわかります。
聴き方の訓練ですが、同時に話し方、伝え方の訓練にもなります。
ポイント3【相手のニーズに気付き、「共感・サプライズ・言い訳」のいずれかを与える】の訓練方法
共感、サプライズ、言い訳、どれにしても相手が即座に理解する内容でなければなりません。
訓練方法のひとつに「たとえ話が上手にできるようになること」だと実感しています。
僕は若い頃、新聞の記事をメモしていました。
社長相手に話しを持続しなければならないので、時事ニュースは欠かせない情報でした。
相手に共感する、相手の話についていく、そのために情報をメモしていたのですが、やはりネタは尽きます。
そこで手をとったのが“たとえ話にすり替える”ということです。
時事ニュース、とくに政治のことはチンプンカンプンだった20代後半の頃。
話についていけなくて、「はぁ~、そうですねぇ~、えぇ。」ぐらいしか応えられない自分に腹が立ってきましたから、
「それって、野球でいうならば××ということですかねぇ~」という適当に応えたところ、野球好きの社長は、「そやそや、その通りや」と偶然にも的をえて、自分でもびっくりした経験があります。
そうなると、話の流れはこちらのものです。
適当なオチとして「ま、結局は今の阪神タイガースのようなものでしょ」と、笑いを誘いました。
それからというもの、どんな話がきても怖くなくなりました。
この経験は受身として話を交わしたシチュエーションですが、こちらから話をもっていく際にも当然有効です。
難しい話、専門的な話で「おぉ~、そやそや!」なんて大きな声出すようなことって少ないですよね。
人が共感する、びっくりするということはシンプルでなければなりません。
言い訳についても同じです。
「だって安かったんだもん」
「だって面倒だったからだもん」
「だってすごく面白かったからだもん」
子どもが親に言い訳をするように、言い訳もシンプルが一番です。
そのシンプルなことを相手に与えれば、相手は頷いてくれるはずです。
だから、よりわかりやすいたとえ話ができるように常に訓練しなければなりません。
ポイント4【次につなげる約束事を言う】の訓練方法
ここでの訓練は、話慣れすること、何回も同じように話をすることが一番でしょうか。
以下の台詞を自分なりに加工して、何回も声をだして練習しましょう。
「今日はありがとうございました。宿題をいただきましたので、さっそく帰ってお応えしますね。○○○という点、×××ということ、そして△△の点、3点ですがよろしくお願いいたします!」
あとは、タイミング、相手を見ながらの言い方に気をつければいいでしょう。
余談ですが、人間は一度に7つまでしか記憶に残らないそうです。だから約束事も最大7つです。
でも僕は7つも覚えられません(泣)せいぜい3つです。また、3という数字はわかりやすいです。
誰かが話しをしていましたが、3という数字はバランスが良いらしいです。
だから僕は、何事も2つしかなくても強引に3つまで増やします。余談、失礼しました。
そして、少し強引とでも言える約束事になるならば、笑顔を欠かさないことです。
目いっぱい力が入って約束事をされるのも辛いですよね(笑)
以上、4つのポイントに関しての訓練方法を記述しました。
| 講師プロフィール |
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| 松尾和馬 |
| プログラマー・システムエンジニア技師として富士通関連の会社に勤務、のち知人と会社設立、会社役員として数年経験したのち独立する。 中小企業の情報分野の顧問サービスを展開、またカラー関係分野に携わり個人自営業としての経営・営業・広報の相談ごとを多く受ける。 資格としてはシステムアドミニストレーターを所持。 また、家族の経営する会社の経理業務を大学在学中に携わったため、資格はないが簿記・経理には精通。 新事業など情報戦略のセミナー講師、パソコン講師の経験豊富。 山口県出身 神戸市在住 昭和42年生まれ 趣味は音楽 |
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